関係者各位
NPO法人ながさき県民医療福祉協会
理事長 稲澤 陽三 
(日本歯科医師会会員)
 

歯科医師国家試験アンケート調査結果報告

秋冷の候、皆様におかれましては、ますますご活躍のこととお慶び申し上げます。

 
さて、歯科医師国家試験アンケート調査にご協力有難うございました。お陰様で多数のご意見を頂戴致しましたので下記の通りご報告申し上げます。
 

 ●本年の第103回国試の合格率は?

概ね妥当・・・9名 、 低い(厳しい)と思う・・・34名 、 何とも言えない・・・2名 、 もっと下げて(厳しくしても)良い・・・42名

 

 ●「低い(厳しい)と思う」に回答の方へお尋ねします(複数選択可) 何故、厳しくなったと思われますか?

過剰と言われている歯科医数師削減の為・・・34名 、 厚労省側に臨床研修医数と予算枠の関連があるのでは・・・14名 、 受験者の質が低下してきているのでは・・・18名  、 試験の評価法が絶対評価から相対評価へ変わったため・・・21名 、 試験内容が複雑になり、しかも難問が増えたため・・・20名  、 必修問題、禁忌問題等が出題されて来たため・・・20名 、 平成18年に厚労省と文科省の大臣による「確認書」の存在・・・21名

 

●今後の国試合格率は現状のままで良いと思われますか?

良い・・・11名 、 医科国試なみの90%前後に引き上げて欲しい・・・30名 、 もっと厳しくしても良い・・・46名 

 

●合格率についてのご意見(複数選択可)

大学入学者数の入口削減を先にすべきで、卒業・国試等の出口削減はおかしい・・・53名 、 厚労省研修医数総枠があるとしたら、撤廃してほしい・・・22名  、 試験制度における絶対評価の復活が望ましい・・・33名 、 文科省による大学入学定員の早急な是正(削減)が必要・・・65名 、  国試は選抜試験ではなく資格試験であって欲しい(選抜は合格基準に達していても総数の枠外になり不合格となる可能性あり)・・・37名

 

●回答者数

男性・・・78名 、 女性・・・9名 合計・・・87名

 

アンケート調査におけるご意見の一部を集約し掲載致します。

1.歯科医師過剰であるので、歯科医師数を削減する為に国試を厳しくする。
2.入学定員を削減できなければ、卒試・国試を厳しくする以外にない。
3.新規参入する歯科医師の質を上げる為に国試を厳しくする。
4.歯科医師過剰による痛みは、開業医・歯科大学・学生で分ける。
5.私立歯科大学の統廃合による入学定員の削減を図る。削減が無理であれば国試合格率を厳しくする。
6.歯科医師の質の低下は歯科医療の崩壊につながり、歯科界、国民にとっても不幸である。従って質の低下を防ぐためには国試を厳しくする。
7.歯科医師過剰であり、ワーキングプアーの歯科医が増えている。国試を厳しくして歯科医師を削減する。
8.国試難化で一番不幸なのは学生である。
9.入学定員をコントロールして質の高い歯科医師を育成する。魅力ある職業に引き上げる。
10.入る者を絞って医師国試なみにする。
11.入学試験を厳しくして、優秀な学生を入学させて国試90%程度の合格率を確保する。
12.国試の問題の質が著しく低下している。悪問のオンパレードと言っても過言ではない。試験問題を作製する教官のレベルアップが必要。
13.現状のような過剰な入学定員のままで、国試で落とすやり方は、国や社会にとっても損失であり同時に当事者である歯学生、家族にとっては悲劇である。
14.歯学部卒業の資格で他の職業の資格を取れるような道を開いて欲しい。
15.私たち多浪生は歯科医師削減時代の被害者である。
(他に多数ご意見を頂きましたが、一部割愛させて頂きました。)

 

 <考察>

本年の第103回合格率は「もっと厳しくしても良い」と「厳しいと思う」+「概ね妥当」とがほぼ同数で意見が分かれています。
又、合格率は現状より「もっと厳しくしても良い」がやや多かったことが特徴と言えます。
今回のアンケートで回答者のおかれている立場の違いで、この様にご意見が違ってくるものと推察されました。
しかしながら、共通のご意見として歯科医師過剰が大前提にあり、「まず、大学入学者定員を減らす、又は歯科大学の統廃合をすることで、適正な歯科医師数を確保する」・「大学定員を削減できなければ、国試を厳しくして歯科医師を調整する」が多数を占めました。
一般的に、ワーキングプアーの歯科医師が増えていることが歯科医師過剰との認識に繋がっているのではないかと思われます。
しかしながら、何をもって歯科医師過剰なのか歯科医院間の格差や、地域偏在等十分に検討を要する課題と言えます。
いづれにせよ、文科省が入学定員の是正を真剣に取り組むことなく又、厚労省が諸般の事情を省みず、単に国試合格者数の調整のみにこだわるならば、国益等を損なうことになり、歯科界の近未来は厳しいといえます。とりわけ、現在早急な対策として、文科省が認めた入学定員で入学した学生を歯科医師過剰対策とは切り離すことであり、犠牲者にしないことです。つまり、過剰対策の対象者として、国試合格者数をコントロール(相対評価)することなく実力あるものは合格(絶対評価)させる必要があると思われます。
歯科医師過剰であるならば、文科省と厚生省の関係者による検討を加えた上、入学定員(来年度は全国で136名定員削減)の更なる削減を行い適正なる国試合格者を維持し、地域社会に必要とされる歯科医師数を確保することが望ましいと言えます。
このアンケート調査結果は関係各方面に公表し、今後の活動の指針にしていきたいと考えております。ご協力に感謝申し上げます。

 
 
 
 
 
平成22年10月